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  • Storage pool 病 Storage pool disease

    2015/02/17 作成

    解説

    【病態・病因】
     Strage pool disease(SPD:ストレージプール病)は先天性血小板顆粒異常症の総称である。血小板内の顆粒はα顆粒,濃染顆粒(δ顆粒),リソソームに大別される。血小板内のα顆粒とその内容物(フィブリノゲン,血小板第4因子・βトロンボグロブリンなど)を欠損するものをα-SPDといい,塗抹標本上で染色性が低下した灰色の血小板が特徴的なため,灰色血小板症候群(gray platelet 症候群)とも呼ばれる。一方,血小板内の濃染顆粒(δ顆粒)とその内容物(アデノシン二リン酸,セロトニンなど)を欠損するものをδ-SPDという。δ-SPDの中には,白皮症を伴うHermansky-Pudlak症候群Chediak-Higashi 症候群も含まれるが,白皮症を伴わない症例もある。また,α顆粒と濃染顆粒の両者が減少するαδ-SPDという。Gray platelet 症候群とHermansky-Pudlak症候群ではさらに詳細な解析が行われており,原因の遺伝子異常の報告もあるが,それぞれの項を参照されたい。症状は幼少期からみられる出血症状であり,フォン・ヴィレブランド病(VWD)に類似した出血症状を呈することが多い。顆粒の異常のタイプは様々であり,出血症状の程度も症例によって異なる。稀な疾患であることもあり,病因の明らかでない症例も多い。



    【疫学】

     稀な疾患であるが,本邦でも各種のタイプの症例報告はある。


    【検査と診断】

     出血時間は延長する。血液塗抹標本ではgray platelet 症候群のように形態異常を呈する例もあるが,異常がはっきりしないことも多い。血小板凝集能検査ではADP二次凝集が低下する症例があるが,欠損する顆粒のタイプによっては凝集能は正常であることもある。血小板放出能は低下することが多い。電子顕微鏡で,各種血小板顆粒の異常を確認することが必要である。


    【治療の実際】

     手術等に際して,出血症状が問題となる場合には血小板輸血が有効である。血小板機能をさらに抑制するアスピリンなどの使用は避けるべきである。

    参考文献

    1) 國島伸治:Gray Platelet 症候群,血液フロンティア 16:1078-1084,2006.