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濃縮凝固FVIII因子製剤/濃縮凝固FIX因子製剤/濃縮凝固FXIII因子製剤
解説
凝固第VIII因子(FVIII)製剤
FVIIIのみを純化精製した製剤とFVIIIとフォン・ヴィレブランド因子(VWF)との複合体製剤に大別される。前者は血友病A、後者は主にフォン・ヴィレブランド病(VWD)(血友病Aにも適応有り)の出血抑制に用いられる。前者には血漿由来製剤と遺伝子組換え製剤があり、後者は血漿由来製剤である。また、遺伝子組換え製剤には完全分子型とBドメイン欠損型に二分される。さらに半減期を約1.5倍に延長させた長時間作用型の遺伝子組換え製剤が開発され、その一部は2015年に上市された。
凝固第IX因子(FIX)製剤
FIXのみを純化精製した製剤と、FIXのほか、プロトロンビン、凝固第VII因子(FVII)、凝固第X因子(FX)およびプロテインC、プロテインSなどの凝固制御因子を含有するプロトロンビン複合体濃縮製剤(PCC)に大別される。前者は血友病Bの止血治療に用いられ、血漿由来製剤と遺伝子組換え製剤の2種類が有る。後者は血漿由来製剤であり、以前は血友病Bの治療薬として使用されたが、現在では他の製剤に対してアナフィラキシー反応を示すなどの極めて特殊な血友病B患者にのみ使用されている。また、プロトロンビン、FXの欠乏症やプロテインC欠乏症、プロテインS欠乏症の治療薬として用いられることがある。さらに半減期を約3~5倍に延長させた長時間作用型の遺伝子組換え製剤が開発され、その一部は2014年に上市された。
凝固第XIII因子(FXIII)製剤
FXIIIは酵素活性を有するa鎖とキャリアタンパク質であるb鎖が2ずつ会合したa2b2の4量体として血液中には存在する。凝固過程の最終段階でフィブリン鎖間に架橋を形成し安定化フィブリンへと変化させる。また、フィブリン同士のみならずフィブロネクチン、コラーゲンなどとも架橋形成をし、創傷治癒過程にも重要な役割を演じる。ヒト血漿からFXIIIのみを純化精製し乾燥濃縮されたものはFXIIIa2b2製剤で、適応疾患は先天性FXIII欠乏症、FXIII低下に伴う縫合不全および瘻孔、IgA血管炎(Schoenlein-Henoch紫斑病)である。