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血小板凝集機構
解説
【概要】
血小板は傷害をうけた血管壁の局所に粘着し活性化され、最終的に凝集塊を形成し一次止血に寄与する。血小板凝集はGPIIb/IIIa(インテグリンαIIb/β3)とフィブリノゲンとの会合により生じる反応である。
【機序】
アデノシン二リン酸(ADP)などの刺激物質により活性化シグナルが惹起されると、血小板上のGPIIb/IIIaは低親和性から高親和性へ構造変化を起こし、リガンドであるフィブリノゲンやフォン・ヴィレブランド因子(VWF)などと結合することができるようになる(inside-outシグナル)。GPIIb/IIIaとフィブリノゲンなどとの結合からのシグナルが細胞内に伝播し(outside-inシグナル)、不可逆的な凝集反応が進行することで血小板血栓が形成される。GPIIb/IIIaを介した血小板凝集は血餅退縮に関与する。局所で活性化した血小板からトロンボキサンA2やADPなどの強力な血小板惹起物質が放出され、さらに他の血小板を活性化し、その刺激は細胞外ドメインを通してこのような正のフィードバック経路により血小板同士が強固に凝集(血小板凝集)して凝集塊が安定化される。
【検査】
in vivoでの血小板凝集能の評価は出血時間が行われるがその精度は低い。in vitroでの血小板凝集能検査としては透過度法が用いられる。これは血小板多血漿(platelet-rich plasma)を遠心操作により採取し、ここに血小板刺激物質(アゴニスト)を加え、血小板凝集をin vitroで観察するものである。
【病態との関わり】
GPIIb/IIIaが欠損する血小板無力症では血小板凝集が欠如するために出血傾向を呈する。無フィブリノゲン血症でも同様に血小板凝集が減弱する。GPIIb/IIIaの活性化に関与するKindlin異常に起因した白血球接着不全症(LAD)が報告されている。動脈血栓症の発症には血小板血栓が重要なため、その二次予防に抗血小板薬が使用される。欧米ではGPIIb/IIIa阻害薬が臨床の場で使用されているが、日本では保険適応はない。
参考文献
1) 半田誠:血小板粘着・凝集,血栓症ナビゲーター,メディカルレビュー社.