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  • GPIIb/IIIa阻害薬 GPIIb/IIIa antagonist

    2022/01/17 更新
    2015/02/17 作成

    解説

    【一般名(製品名)】

     abciximab、epitifibatide、 tirofiban


    【適応】

     現在、欧米で認可されているGPIIb/IIIa阻害薬は3種類であり、日本ではいずれの薬剤も認可されていない。その特徴を表1に示す。


    【副作用・禁忌】

     作用機序から予想されるとおり、出血性有害事象は多いので効果とのバランスを考慮する。また高度の血小板減少をきたすことがある。

    【作用機序】

     GPIIb/IIIa(インテグリンαIIb/β3)は血小板膜タンパク質の一つであり、血小板凝集の受容体として機能している。すなわち、血小板がアデノシン二リン酸(ADP)やトロンビンなどで活性化されるとGPIIb/IIIaの立体構造が変化して活性型GPIIb/IIIa受容体となりフィブリノゲンやフォン・ヴィレブランド因子(VWF)などのリガンドと結合する結果、血小板同士の結合(凝集)に至る。血小板を活性化する刺激が何であってもGPIIb/IIIa受容体へのリガンド結合が血小板凝集の最終共通経路であるため、GPIIb/IIIa受容体拮抗薬は強力な血小板凝集抑制剤となりうる。1994年に抗GPIIb/IIIaモノクローナル抗体abciximabが認可され、1998年にはGPIIb/IIIa受容体が認識しているRGDアミノ酸構造を基盤に開発された合成ペプチドeptifibatideと非ペプチド化合物tirofibanが加わった。次いで、経口投与が可能なGPIIb/IIIa阻害薬の開発が進められ、2000年までに大規模な臨床試験が複数実施された。しかしながら、予想に反していずれの試験でも経口薬の有効性は証明されず、むしろ実薬群の方がプラセボ群よりも死亡例が有意に多い結果となり、臨床開発は中止に追い込まれた。注射薬については現在でも高リスクの急性冠症候群患者に一定の有用性が示されているが、チエノピリジン系薬剤とアスピリンの2剤併用抗血小板療法(DAPT)が標準治療となり、GPIIb/IIIa阻害薬の適応症例は限定されている。


    【半減期・代謝経路】

     表1にそれぞれの薬剤の特徴・半減期をまとめた.


    【今後の展望】

     GPIIb/IIIa阻害薬は血小板凝集を大きく阻害することによる出血性有害事象が大きな問題である。そこでGPIIb/IIIa分子を活性化させるルート(inside-outシグナル)は阻害せず、GPIIb/IIIaの細胞内ドメインから発せられるoutside-inシグナルの一部を阻害する薬剤が次世代阻害薬として注目されている。この薬剤は血小板凝集を阻害しないため、出血時間の延長をきたさないが、血小板spreading等の機能を阻害して血管内血栓の形成を抑制する効果が示されている。

    図表

    参考文献

    1) Bosch X, Marrugat J, Sanchis J: Platelet glycoprotein IIb/IIIa blockers during percutaneous coronary intervention and as the initial medical treatment of non-ST segment elevation acute coronary syndromes. Cochrane Database Syst Rev 11: CD002130, 2013.

    2) Bledzka K, Smyth SS, Plow EF: Integrin αIIbβ3: from discovery to efficacious therapeutic target. Circ Res 112: 1189-1200, 2013

    3) Armstrong PC, Peter K: GPIIb/IIIa inhibitors: from bench to bedside and back to bench again. Thromb Haemost 107: 808-814, 2012.

    4) A directional switch of integrin signaling and a new anti-thrombotic strategy. Nature 503:131-135, 2013