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サイトカイン cytokine
解説
【概要】
各種の細胞の増殖、分化、機能を制御するタンパク質性の生理活性物質の総称。
【分子量】
分子量8000-30万ほどで、pmol/L程度の低濃度で生理活性を示す。
【分類と機能】
作用の特性から、インターロイキン、腫瘍壊死因子スーパーファミリー、インターフェロン、コロニー刺激因子、ケモカイン、増殖因子などに分類される。
(1)インターロイキン(IL)
白血球が分泌し特に免疫調節に関与する。30種以上報告されている。
IL-1(種々の白血球や内皮細胞を刺激する炎症誘導性のサイトカイン、発熱にも関与)、IL-10(Th2細胞のサイトカイン産生を抑制、抗体産生促進)など。
(2)腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリー
炎症の初期に活性化マクロファージや種々の細胞が分泌しサイトカインや接着分子の発現を促す。慢性炎症、自己免疫疾患、食欲を介して全身の代謝状態にも関与する。
TNFα, TRAIL(TNF-related apoptosis-inducing ligand), RANKL(receptor activator of NF-κB ligand)など。
(3)インターフェロン(INF)
Th1細胞などが分泌し、貪食細胞や抗原提示細胞の活性化を促す。また、マクロファージ 、線維芽細胞などからパターン認識細胞反応によって産生され、免疫制御に関与する。
INFα, INFβ, INFγなど。
(4)コロニー刺激因子
種々の細胞から分泌され、白血球前駆細胞の増殖や分化を制御する。また、自然免疫細胞を活性化する。
GM-CSF(granulocyte/macrophage colony-stimulating factor), G-CSF(granulocyte colony-stimulating factor), M-CSF(macrophage colony-stimulating factor)など。
(5)ケモカイン
炎症や免疫応答の局所への白血球の走化性を誘導する。50種以上が報告されている。保存されたシステイン残基の配列により4つのファミリーに分類される。CXC型やCX3C型ではシステイン残基の間に任意のアミノ酸残基が1つあるいは3つ存在する。CC型ではシステイン残基が2連続で存在し、C型ではシステイン残基が1つだけ存在する。炎症で誘導される炎症性ケモカインと恒常的に発現してリンパ球の移動に関与するものがある。
IL-8(CXCL8), MIP-2(macrophage inflammatory protein-2)(CCL8), RANTES(regulated upon activation, normal T-cell expressed and secreted)(CCL5), MCP-1(macrophage chemoattractant protein-1)(CCL2), MIG(monokine induced by INFγ)(CXCL9)など。
(6)増殖因子
修復過程において間葉系細胞の増殖、細胞外基質の産生を促す。白血球には抑制的に作用する。
トランスフォーミング増殖因子(TGF)-β, actibin/inhibin, BMP(bone morphogenetic protein), FGF(fibroblast growth factor), PDGF(platelet-derived growth factor), VEGF(vascular endothelial growth factor), HGF(hepatocyte growth factor)など
【作用と受容体】
細胞複製、分化、生存維持、および細胞死、機能発現など多彩な細胞応答を制御し、免疫系の制御や炎症反応などに働く。さまざまな細胞集団が特定の組み合わせのサイトカインを分泌するが、それは細胞の種類、活性化の有無、活性化のされ方に依存する。また、その作用は結合する特異的受容体を発現する細胞とそれに続くシグナル伝達系で規定される。サイトカイン受容体は構造や共有する受容体サブユニットの特徴などから、サイトカイン受容体スーパーファミリー型、INF型、TNF型、チロシンキナーゼ型、TGF-β型、ケモカイン型、免疫グロブリン型(IL-1)などに分類される。
参考文献
1) 高津聖志監訳,清野宏,三宅健介:免疫系の紹介,免疫学イラストレイテッド原著第7版.南江堂,2009,3-124.
2) Striz I, et al: Cytokine networking of innate immunity cells: a potential target of therapy. Clin Sci 126: 593-612, 2014.