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ケモカイン chemokine
解説
【概要】
ケモカイン(chemokine)は、細胞遊走活性を主機能とするサイトカインの一群であり、生体における様々な細胞の組織内移動や局在を制御する。殊に白血球やリンパ球遊走活性を制御することから、炎症・免疫における役割について解析が進んでいる1)。
【構造と機能】
ケモカインは8-14kDa程度の低分子タンパク質であり、典型的なケモカインのアミノ酸配列中には4つのシステイン残基がよく保存されている。これらはN末端側からそれぞれ1番目と3番目、2番目と4番目のシステイン残基同士でジスルフィド結合を形成することにより2次構造の形成に重要な役割を果たしている。システイン(Cys)配列の違いにより以下述べるようにCC、CXC、C、CX3Cの4種類に分類される1-3)。
【ノックアウトマウスの表現形・病態との関わり】
ノックアウトマウスの表現形について主に免疫系の細胞機能について進んでいる。ヒトおよび疾患動物モデルにおける解析では、動脈硬化症、大腸炎、皮膚炎などの炎症性疾患、自己免疫疾患、HIV-1感染、がんの増殖や転移、予後、抗菌作用について解析が進んでいる(表)。
図表
表 疾患とケモカイン
引用文献
1) 野見山尚之:哺乳類におけるケモカインとその受容体の遺伝的および機能的多様化機構,生化学 82(4):271-289,2010.
2) Roy I, Evans DB, Dwinell MB: Chemokines and chemokine receptors. Update on utility and challenges for the clinician., Surgery. Jun: 155(6): 961-973, 2014. doi: 10.1016/j.surg.2014.02.006. Epub 2014 Feb 8.
3) Regulation of circulating neutrophil numbers under homeostasis and in disease. J Innate Immun. 5(4): 304-314, 2013. doi: 10.1159/000350282. Epub 2013 Apr 6.
4) Mouse Genome Informatics, The Jackson Laboratory. http://www.informatics.jax.org/