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トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT) thrombin-antithrombin complex(TAT)
解説
【概要】
活性化第X因子(FXa)によりプロトロンビン(FII)が活性化されると、プロトロンビンフラグメント1+2 (F1+2)が遊離しトロンビン(FIIa)が生成される。トロンビンは阻止因子であるアンチトロンビン(AT)と結合して短時間で活性を失い、トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)が生成される(図)。トロンビン生成量は凝固活性化の程度を反映するが、半減期は数秒~十数秒と極めて短く測定は困難である。一方、TATの半減期は数分~十数分程度と長くトロンビンの産生量と相関するため、TAT測定によって間接的にトロンビン産生を評価できる。TATは播種性血管内凝固症候群(DIC)などの各種血栓性疾患の診断ならびに治療効果判定に用いられる。
【基準値】
<3 ng/mL
【測定法・測定原理】
2ステップサンドイッチEIA法など
【その他のポイント】
TATは採血時や保管時の状況によってアーチファクトが出やすい。採血困難時や過度な吸引圧での採血、抗凝固剤との混和が適切に行われていなかったり、保管時の不適切な温度管理などが原因となる。Dダイマーなどのその他の凝固活性化を示すマーカーが正常である場合にはアーチファクトを考えて再検や他の凝固活性化マーカー(SF、F1+2など)を測定する。
明らかな凝固亢進がみられるにも関わらずDICなどでAT減少や機能低下をしている際にはTATが高値とならない場合がある。このような場合には可溶性フィブリン(SF)など他の凝固活性化マーカーを測定する。
明らかな凝固亢進がみられるにも関わらずDICなどでAT減少や機能低下をしている際にはTATが高値とならない場合がある。このような場合には可溶性フィブリン(SF)など他の凝固活性化マーカーを測定する。
図表
参考文献
1) 朝倉英策:2章 血栓止血関連検査 12 TAT, F1+2,朝倉英策編著,臨床に直結する血栓止血学.中外医学社,2013,57-59.