大分類
  • 凝固
  • 小分類
  • 検査
  • プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2) prothrombin fragment 1+2(F1+2)

    2015/02/17 作成

    解説

    1) 基準値:

     0.53±0.22 nM


    2) 測定法・測定原理:

     凝固の中心的役割を示すトロンビンの直接測定は不可能であるため、トロンビンの前駆体であるプロトロンビンが活性化する際にプロトロンビンから遊離するペプチドの測定でトロンビン産生を反映する考え方で考案された。このペプチドがプロトロンビンフラグメント1+2(F1+2)である。測定法はサンドイッチ法のELISAがある。


    3) 異常値を示す病態とそのメカニズム:

     F1+2の出現は間接的なトロンビン産生を意味し,活動性の凝固分子マーカーである.F1+2の血中半減期は約90分、同様にトロンビン活性化の指標であるトロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)の血中半減期は2分~数分で異なるため、両者のデータが乖離する場合があるが、播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation; DIC)や血栓症ではともに上昇する。抗凝固療法中のモニタリングにも有用で、ワルファリンヘパリンの効果判定にはF1+2が低値であることを確認する場合もある。


    4) 異常値に遭遇した際の対応:
     異常高値であれば血栓傾向を示し、その病態に応じた抗凝固あるいは基礎疾患の治療が必要となる。


    5) その他のポイント・お役立ち情報:

     欧米での測定例が多い。ELISAキットとしてエンザイグノストF1+2(シーメンス)が市販されている。また、採血による偽高値はF1+2がTATより出現しにくいと考えられている。

    参考文献

    1) 新井盛大:プロトロンビンフラグメント1+2,金井正光監修,奥村伸生,戸塚実,矢冨裕編集,臨床検査法提要 改訂第33版.387,