大分類
  • 血小板
  • 小分類
  • 検査
  • VerifyNow®システム VerifyNow® system

    2022/07/25 更新
    2015/02/17 作成

    解説

    VerifyNow とは】
    VerifyNow
    システムは、ピペッティングやサンプル操作を必要とせず、迅速に全血検体において血小板凝集を測定できる装置として開発され、欧米ではアスピリンやクロピドグレルの簡易モニター検査として承認されていた。わが国で20216月にVerifyNow System ベリファイナウが、20226月にVerifyNow System PRU プル−が血小板凝集能測定装置として承認され、20225月にテストデバイス(試薬カートリッジ)も体外診断用医薬品の製造販売承認を取得し、血小板凝集能検査として保険が適用された

    【測定法・測定原理】
    VerifyNow
    の測定は、3.2%クエン酸ナトリウム0.2ml入りの採血管(Niproネオチューブ)に21ゲージ以上の採血針を使用して静脈血1.8mlを採取し、本体にテストデバイスをセットし、そこへ転倒混和した採血管を挿入するという操作のみで完了する。
    本邦承認のテストデバイスは
    VerifyNow PRUテストとVerifyNow アスピリンデバイスで、ヒトフィブリノゲンでコーティングされたビーズとともにアデノシン二リン酸(ADP)、プロスタグランジンE1PGE1)やアラキドン酸が、4つのミキシングチャンバーに異なる組み合わせで入っている。採血管の挿入により自動的に全血が吸引され、血小板がアゴニストにより活性化されてビーズと凝集塊を形成すると濁度が変化するため、ミキシングチャンバーを通過した光の透過度から凝集を評価する。PRUテストでは約3分でP2Y12 reaction unitsPRU)が、アスピリンでは約5分でaspirin reaction unitsARU)が表示される。測定は採血後10分(PRU)または30分(ARU)から4時間の間に行う。

    【特徴】
    VerifyNow
    の測定原理は光透過法であるが、全血とフィブリノゲンコーティングビーズを用いることと、ADPとともにPGE1を反応させることが特徴である。本法の測定結果は、光透過法の血小板凝集能と高い相関を示す。
    VerifyNow
    の最大の利点は、操作が極めて簡便なpoint of care testingということである。結果が迅速に得られ緊急検査として行いやすく、測定方法の標準化が不要なことから多施設共同研究に使用しやすく、検査に伴う感染リスクも低い。ただし、テストデバイスが極めて高価である。

    【臨床的意義】
    VerifyNow
    により評価した抗血小板療法下の残存血小板機能と臨床予後との関連は、特に、薬理作用の個人差が注目されているP2Y12阻害薬について数多く報告されている。クロピドグレルの効果が減弱するCYP2C19機能喪失型の遺伝子多型保因者では、PRUが高値である。PRU 高値の患者群では、冠動脈インターベンション後のステント血栓症、心血管イベントや死亡が高率で、低値の患者群では出血が多いことが示唆されている。さらに、PRU高値が心血管イベントの予測因子となることを示す報告もある。しかし、PRU高値の患者に対するクロピドグレルの増量やプラスグレルへの変更といった介入の有効性は示されておらず、カットオフ値は明らかではない。PRUARUに基づく抗血小板療法の個別化が期待されているが、臨床的有用性は確立していない。なお、採血には21ゲージ以上の採血針を用いる必要があるため、血管の細い乳幼児への応用は容易ではない

    図表

    • 図.VerifyNow の測定原理(VerifyNow Reference Guide から引用) VerifyNowの測定は、3.2%クエン酸ナトリウム0.2 ml 入りの採血管(Greiner社製)に静脈血1.8 ml を採取し、本体にカートリッジをセットし、そこへ転倒混和した採血管を挿入するという操作のみで完了する。測定は採血後30分から4時間の間に行う。カートリッジには、P2Y12、Aspirin とGPIIb/IIIa の3種類があり、ヒトフィブリノゲンでコーティングされたビーズとともにアデノシン二リン酸(ADP)、アラキドン酸やトロンビン活性化ペプチド(TRAP)などのアゴニストおよびプロスタグランジンE1(PGE1)が、4つのウェルに異なる組み合わせで入っている。採血管の挿入により自動的に全血がカートリッジ内に吸引され、血小板がアゴニストにより活性化されてビーズと凝集塊を形成すると濁度が変化するため、ウェルを通過した光の透過度から凝集を評価する。Aspirin では約5分でAspirin Reaction Unit (ARU)が表示される。P2Y12では約2分でP2Y12 Reaction Unit (PRU)が表示されるとともに、TRAPが含まれるウェルの光透過度(BASE)、PRUとBASEから算出される%inhibition も表示される。

    引用文献

    1) VerifyNow Whole Blood Platelet Reactivity Testing System Reference Guide (Instrumental Laboratory) https://www.vingmed.dk/wp-content/uploads/sites/3/2021/12/VerifyNow-Pocket-Guide-PRU-Version-MVN0045-00-318_FINAL.pdf

    参考文献

    1) 米田美穂子,清水太一:簡易抗血小板薬モニタリングシステム「VerifyNow」について,細胞 43: 82-83,2011.