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  • Multiplate® アナライザー Multiplate® analyzer

    2015/02/17 作成

    解説

    【概要】
     Multiplate®アナライザーは1979年にCardinalによって開発された血小板凝集時の電極間電気抵抗の増加を利用した血小板機能分析装置である。多血小板血漿を用いず全血での測定が可能であるため、血小板凝集能検査(透過光法)に比べ簡便で、短時間に測定が可能である。血小板凝集能の測定原理は血小板凝集惹起物質を添加した血液に挿入された2本の電極センサー表面に活性化した血小板が粘着凝集することで生じる電極間の電気抵抗の変化を連続的に記録し、解析する血小板凝集測定法(インピーダンス法)である。


    【測定方法】

     3.2%クエン酸加またはトロンビンインヒビター加全血サンプルを用いて採血後0.5から3時間以内に測定をする。クエン酸加全血の分析では検体300μLと0.9% NaCl, CaCl2 3mMの希釈液300μL(トロンビンインヒビター加全血では300μLの0.9% NaCl溶液のみ)を予熱と平衡状態のため3分間ピペッティングする。活性化試薬20μLを加え、6分間の測定後に結果が得られる。アラキドン酸、コラーゲン、トロンビンレセプター活性化ペプチド (TRAP-6), アデノシン二リン酸(ADP)等の血小板活性化試薬が使用可能である。測定セル中には2対の測定電極(ツインセンサー)があり、これにより高感度に測定ができる多重電極凝集測定法 (MEA; Multiple Electrode Aggregometry) を採用している。また高い検体処理能力があり(5チャンネルの並行テストが可能)、1時間に30テストまで測定可能である。
     血小板凝集能の定量評価は2対の電極間の凝集曲線を平均した曲線を求め、その曲線が描く下の面積(AUC; area under the curve)で表される(図1)。


    【注意点】

     採血から検体測定までの時間によりAUCの値が変化するため、安定した結果を得るためには各施設で採血から測定までの時間を一定化する必要がある。また、採取管内の凝固剤の種類によりAUCの値も若干変化する。


    【特徴】

     操作が簡単で、全血を用いて短時間で測定が可能である。臨床データ1,2)も豊富で最も広くヨーロッパで使用されている。冠動脈のステント血栓症に関して、カットオフ 41.6 U以上をクロピドグレル不応性とした場合に有意にステント血栓症を認めたとの報告がある2)(尚、使用するADP試薬の種類によってAUCの値は変化するため、臨床応用する場合には同一のADP試薬を使用する必要がある)。

    図表

    • 血小板凝集曲線のデータシート

    引用文献

    1) Sibbing D, Schulz S, Braun S, Morath T, Stegherr J, Mehilli J, Schomig A, von Beckerath N, Kastrati A: Antiplatelet effects of clopidogrel and bleeding in patients undergoing coronary stent placement. J Thromb Haemost 8: 250256, 2010.
    2) Sibbing D, Braun S, Morath T, Mehilli J, Vogt W, Schomig A, Kastrati A, von Beckerath N: Platelet reactivity after clopidogrel treatment assessed with point-of-care analysis and early drug-eluting stent thrombosis. J Am Coll Cardiol 53: 849856, 2009.