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  • VWF活性・抗原・マルチマー解析

    2015/02/17 作成

    解説

    【概要】

     フォン・ヴィレブランド因子(VWF)の検査は、フォン・ヴィレブランド病(VWD)が疑われる出血症状や、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)延長、血小板凝集低下などの出血傾向が認められるときに行われる。VWFの量的あるいは質的な異常はVWDの診断および病型分類の指標となる。一方、慢性肝炎、肝硬変、腎疾患、播種性血管内凝固症候群(DIC)、川崎病、脳梗塞、妊娠など、種々の病態でVWF量が高値を示すことがある。

    【VWF:Ag】

     血漿中のVWF抗原量。抗体を用いて、主にELISAかラテックス凝集法で定量する。ABO血液型のO型では非O型に比べて低値を示す。3型VWDでは5%未満を示す。


    【VWF:RCo】

     リストセチン・コファクター活性。固定血小板を用いて被検血漿のリストセチン凝集能を測定し、VWFの補因子活性として評価する。VWDでは一般に低下するが、重症度や病型によっては正常範囲内である。将来的には、血小板不要のVWF:GPIbRあるいはVWF:GPIbMに置き換わる可能性がある。なお、2B型VWDあるいは血小板型VWD(GPIbの異常)では、リストセチン誘導血小板凝集(RIPA)検査(VWF:RCoとは異なる)において低濃度リストセチン凝集が見られる。


    【VWF:RCo/VWF:Ag】

     リストセチン・コファクター活性とVWF抗原量の比。VWFの機能評価に有用。2型VWDでは0.6未満を示す。

    【VWF:GPIbR】
     リストセチン存在下におけるリコンビナントGPIbに対するVWF結合能。


    【VWF:GPIbM】

     リコンビナントGPIb変異体(gain-of-function)に対するVWF結合能(リストセチン不要)。


    【VWF:Ab】

     VWFのA1ドメインに対するモノクローナル抗体結合能。


    【VWF:F8B】

     凝固第VIII因子結合能。2N型VWDを同定するために有用。


    【VWF:CB】

     コラーゲン結合能。1型VWDと2型VWDを区別するときなどに有用。


    【VWFpp】

     血漿中のVWFプロペプチド抗原量。VWFpp(半減期2-3時間)とVWF:Ag(半減期8-12時間)の比によって、VWFのクリアランスを評価する。


    【マルチマー解析】

     SDSアガロースゲル電気泳動でVWF多量体構造を分析する。正常血漿では、2量体、4量体、6量体から、数十を超える多量体まで、ラダー状バンドが検出される。高分子量領域、中分子量領域、低分子量領域に分類して分析すると、2B型VWDでは高分子量が減少し、2A型では中分子量も減少する。低分子量領域ではトリプレット構造が見られ、2A型の分類に有用である。1型、2N型、2M型では正常パターンを示し、3型ではマルチマーは検出されない。血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)患者では、超高分子量領域にマルチマーが検出される。


    【遺伝子解析】

     VWDが疑われた場合、VWF遺伝子の塩基配列を調べる。遺伝子異常の特徴と上述の検査結果を合わせ、VWDの病型を確定する。