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フィブリノペプチドA・B(FpA・FpB) fibrinopeptide A (FpA), fibrinopeptide B (FpB)
解説
【概要】
フィブリノペプチドA(fibrinopeptide A: FpA)は、トロンビンがフィブリノゲンAα鎖のN末端側に位置するArg16-Gly17間を切断して遊離するAla1-Arg16から成るペプチドである。さらに、トロンビンはBβ鎖のN末端側に位置するArg14-Gly15間を切断してフィブリノペプチドB(FpB)β1-14を遊離させる。
一方で、安定化フィブリン形成後にプラスミンが作用するとBβ鎖のArg42-Ala43間が切断され、FpBβ15-42が遊離する。したがってFpBには凝固反応を反映するFpBβ1-14と線溶反応を反映するFpBβ15-42の2種類が存在する。
【臨床的意義】
FpAやFpB1-14はトロンビンがフィブリノゲンに作用したことを示すものであり、トロンビン生成の間接的なマーカーと考えることができる。また、FpBβ15-42は安定化フィブリン形成に続く線溶反応に由来するペプチドであることから、その上昇は凝固線溶反応の活性化を示唆する。
しかし、採血不良による偽高値や、アプロチニン入りの特殊な採血管を要することなどから現在では臨床検査として普及していない。FpAの代替としてトロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)やプロトロンビンフラグメント1+2(F1+2)が測定されることがほとんどである。なお、FpAは市販のELISAキットを用いて測定が可能であるほか、HPLCを用いた測定も可能であるが研究的な意義として位置付けられる。
参考文献
金井正光 監修,奥村 伸生・戸塚 実・本田 孝行・矢冨 裕 編:臨床検査法提要 改訂第35版(金原出版)
I. Mackie, A. Casini, M. Pieters, R. Pruthi, C. Reilly-Stitt, A. Suzuki: International council for standardisation in haematology recommendations on fibrinogen assays, thrombin clotting time and related tests in the investigation of bleeding disorders. Int J Lab Hematol. 2024; 46: 20–32.