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  • 希釈ラッセル蛇毒時間(dRVVT) dilute Russel’s viper venom time(dRVVT)

    2015/02/17 作成

    解説

    1) 基準値:方法・条件により異なる


    2) 測定法・測定原理:
    ラッセル蛇毒(Russel’s viper venom; RVV)は直接血漿中第X因子(FX)を活性化する能力がある.ラッセル蛇毒時間(RVVT)はFX以降の凝固反応を検出するために開発され、RVVTはその名前が凝固時間を意味するが、最近は生成した活性化FX(FXa)を合成発色基質で定量することが一般的で、合成基質S-2222が用いられる。なお、ループスアンチコアグラント(LA因子)検出のためにリン脂質(PL)濃度を希釈したものと比較する希釈RVVT(dRVVT)は凝固時間で測定する。最近この検査でリバロキサバンが明確に影響することが報告された。


    3) 異常値を示す病態とそのメカニズム:
    LA因子検出のスクリーニングとして優れるとともに、抗FXa活性を持つNOACのリバロキサバン投与時に顕著で、50 ng/mlから影響がみられ、200 ng/mlではdRVVTのLA1(低リン脂質濃度)/LA2(高リン脂質濃度)比が1.4を超えることが報告されている。


    4) 異常値に遭遇した際の対応:
    LA因子のスクリーニングとして異常値(T1/T2比が1.3など提示の測定キットあるいは会社の基準値を超える)の場合は過剰のリン脂質で中和されるかを確認する検査にすすむ。なおカルジオリピンやβ2グリコプロテインIに対する抗体の結果がない際は追加検査する。一方、抗Xa活性を持つNOACの中でアピキサバンはPTや活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の通常の止血スクリーニング検査では異常を検出できないため留意しなければならない。なお市販の抗Xa活性キット(STA Liquid anti-Xa assay, StagoとCoamatic Heparin reagent, Chromogenix)では200ng/ml以下の時点でも異常を検出した。なお、リバロキサバンとアピキサバンはダビガトランと異なり、その除去に透析は有効でない。止血改善には新鮮凍結血漿や凝固第IX因子複合体(保険適応ではない)を投与する。


    5) その他、お役立ち情報:
    抗リン脂質抗体症候群の診断に関しては日本血栓止血学会SSCの動向を注視していただきたい。方法やNOACの影響の詳細は文献にある。なお、アピキサバンのCmaxは2.5mg投与で50 ng/ml前後、10mg投与で150~200 ng/mlであるが、dRVVTに影響が出るのはその2-3倍以上の600 ng/mlである。

    参考文献

    1) 新井盛大:第X因子の合成基質測定法,金井正光監修,奥村伸生,戸塚実,矢冨裕編集,臨床検査法提要 改訂第33版.363-364.
    2) Hillarp A, Gustafsson KM, Faxalv L, Strandberg K, Baghaei F, Blixter IF, Berndtsson M, Lindahl TL: Effects of oral, direct factor Xa inhibitor apixaban on routine coagulation assay and anti-factor Xa assays. J Thromb Hemostas in press (ePub online), 2014.
    3) 家子正裕,吉田美香,内藤澄悦:抗リン脂質抗体症候群と臨床検査,臨床病理 58(4):343-351,2010.