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MPL (TPO受容体) MPL (TPO receptor)
解説
MPL(CD110)は唯一のトロンボポエチン(TPO)受容体である。マウスmyeloproliferative leukemia virusのがん遺伝子であるv-mplのホモログとしてヒトc-mplが発見された。
【構造】
ヒトc-mpl遺伝子は染色体1q34に位置し、12個のエクソンから構成される。c-mpl cDNAの塩基配列から、ヒトMPLタンパク質は(25残基のシグナルペプチドを除く)610アミノ酸残基からなる一回膜貫通型受容体である。MPLはタイプIサイトカインレセプターファミリーに属し、細胞外ドメインは2つのサイトカインレセプターモチーフ(CRM)を有し、エリスロポエチン(EPO)受容体と最も高いホモロジーを示す。細胞質ドメインにはキナーゼ領域は存在しないが、JAKファミリーと相互作用するBOX1とBOX2モチーフが存在する。
【機能】
【ノック・アウトマウスの表現形】
MPLノックアウトマウスでは、正常の15%程度にまで血小板と巨核球が激減するが、他系統の末梢血血球は変化しない。また、MPLノックアウトマウスの造血幹細胞が減少していることから、骨髄における造血幹細胞の維持にMPLが深く関わっていることが示唆される。
【疾患との関連】
c-mpl遺伝子変異により重度の血小板減少を呈する先天性無巨核球性血小板減少症(CAMT)が知られている。多くの変異がMPLの細胞外ドメインに存在する1番目のCRM領域をコードする第5エクソンまでに認められ、ミスセンス変異、ナンセンス変異、スプライス部位の変異などがある。CAMTは常染色体劣性遺伝形式で発現し、これまでに報告された患者はホモ接合型変異あるいは複合ヘテロ接合型変異のいずれかである。一方、MPLの膜貫通ドメインに一アミノ酸置換による恒常活性化変異を有する家族性の血小板増多症(常染色体優性遺伝)の報告がある。
図表
参考文献
1) 谷崎祐太,加藤尚志:巨核球造血の最新知見から血小板産生機構を知る,池田康夫編,トロンボポエチン受容体作動薬のすべて.先端医学社,2012年,10-18.
2) Ballmaier M, Germeshausen M: Advances in the understanding of congenital amegakaryocytic thrombocytopenia. Br J Haematol 146: 3-16, 2009.