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  • 非受容体型チロシンキナーゼ non-receptor protein tyrosine kinase

    2015/02/17 作成

    解説

    概要
     非受容体型チロシンキナーゼは細胞外からの刺激を直接受容せず、他の受容体やインテグリンと共役して機能する。血小板には複数の非受容体チロシンキナーゼが存在し、SFK(Src family kinase)、Syk、Btk/TecがITAMを有するGPVI/FcRγとFcγRIIA、hemITAMを持つCLEC-2、インテグリンαIIb/β3などと共役し、JAK2がTPO受容体c-mplと共役する(図1A)。

    ITAM-LAT signalosome(1図B)
    1. 受容体の活性化によりSFKが活性化され、ITAMがリン酸化される。
    2. リン酸化ITAMにはSykがリクルートされ、自己リン酸化やSFKによるリン酸化を受ける。
    3. 活性化SykはアダプタータンパクのLATやSLP-76などをリン酸化しLAT signalosomeを形成する。
    4. SignalosomeにはBtk/Tecがリクルートされ、同様にsignalosomeに結合したVav1/3やPLCγ2をリン酸化する。
    5. 活性化したPLCγ2は2次メッセンジャーであるIP3とDADを産生し、血小板を活性化させる。

    Non-ITAM signaling
     インテグリンαIIb/β3、GPIb/IX/V、c-mplはITAMを持たない受容体である。インテグリンαIIb/β3とGPIb/IX/VはITAM receptorと類似したSFK-Syk-SLP76-PLCγ2経路によって血小板を活性化する。TPO受容体c-mplはJAK2の活性化でリン酸化され、STAT3/5、PI3K/Akt、Ras/MAPK経路により造血幹細胞や巨核球の増殖・分化をもたらす。

    図表

    • 図1

    参考文献

    1) 井上克枝,井上修,尾崎由基男,血栓止血学会誌 22 (6):348-362,2011.