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  • 一次予防としての抗血小板療法

    2015/08/05 作成

    解説

     抗血小板薬のうち、アスピリンは長い使用の蓄積により豊富なデータベースがある。心筋梗塞発症予防効果(参照:虚血性心疾患と抗血小板療法)に代表される有効性の他に、重篤な出血イベントリスク、喘息患者における増悪効果(アスピリン喘息)、上部消化器潰瘍患者における増悪効果(アスピリン潰瘍)などが知られる。心筋梗塞後の二次予防の症例でも時に致死的となるアスピリン喘息には有効な対応策がない。喘息の既往例ではよほどのことがない限りアスピリンの選択は困難である。
     心筋梗塞、脳梗塞を一度経験した症例であれば、抗血小板薬服用による頭蓋内出血などの重篤な出血イベントリスクの増加を理解してもアスピリンの服用を希望する場合もある。高血圧、糖尿病、脂質異常症などのリスク因子を重畳していても、まだ心筋梗塞、脳梗塞などの既往のない症例に重篤な出血イベントリスクを理解させることは難しい。ランダム化比較試験のエビデンスとして、少量アスピリンの服用により心筋梗塞、脳卒中、心血管死亡率を低下させる効果は検証されているが、出血リスクを考えると一次予防のコホートに対する抗血小板薬のエビデンスに基づいた介入は慎重に判断すべきである。

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