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α2アドレナリン受容体 α2 adrenergic receptor
解説
【分子量】
α2アドレナリン受容体はα2A、α2B、α2C、の3種のサブタイプが存在し、いずれもエクソンが1つである。ここでは、血小板に発現するα2Aに関して説明する。α2Aアドレナリン受容体は、450アミノ酸、分子量48957DaのGタンパク共役型の膜受容体である。
【構造と機能】
主な発現箇所は、血小板、神経、血管、脂肪前駆細胞、腎臓である。構造は、アミノ末端(N-末端)を細胞外に、カルボキシル末端(C-末端)を細胞内に持ち22~25個のアミノ酸から成るαヘリックス構造をした細胞膜貫通領域が7つ存在する。この構造は全てのGタンパク共役型の膜受容体に共通である。機能は、Gi/0と共役し、アデニル酸シクラーゼを阻害する。神経伝達物質の放出調節、インスリン分泌、そして血小板凝集調節などが知られている。In vitroでの血小板凝集において、リガンドであるエピネフリンがα2アドレナリン受容体に結合するとその下流のGi活性化経路を介してエピネフリン惹起血小板凝集が起こる。エピネフリン惹起血小板凝集は、血小板機能を解析する方法のひとつとして、研究分野や診療分野において用いられている。
【ノック・アウトマウスの表現形】
血中ノルアドレナリンレベルの上昇が認められている。ノルアドレナリンの放出抑制低下を示した。また、安静時の頻脈やα2アドレナリン受容体作動薬の血圧低下を示さなかった。
【病態とのかかわり】
α2アドレナリン受容体は、血圧調節や心拍数調節、前シナプスでのネガティブフィードバック、鎮静・鎮痛に関与する。薬剤として、αとβ共通の作動薬としてアドレナリン(商品名、アドレナリン、ボスミン)やノルアドレナリン(商品名、ノルアドレナリン)、ドーパミン(商品名、ドパミン)、α2アドレナリン受容体作動薬のクロニジン(商品名、カタプレス)、メチルドパ(商品名、アルドメッド、メチルドパ)、α2アドレナリン受容体遮断薬のヨヒンビン(商品名は市販薬など含めると様々である)がある。
【その他】
前述のエピネフピン惹起血小板凝集の検査は、血小板機能検査のひとつとして出血症状を呈する患者血液を対象に行われている。この検査において留意したい点は、健常人血液においてもこの検査値は個体差を示す点である。また、アスピリンなど抗血小板剤服用も検査値に影響を及ぼす。
図表
参考文献
1) 西川俊昭編集,α2受容体作動薬.克誠堂出版株式会社.