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  • 可溶性Eセレクチン soluble E-selectin

    2015/02/17 作成

    解説

    1)基準値

     17.9~79.2 ng/ml (参考値)(SRL社)18.3~66.2ng/ml (シスメックス社)


    2) 測定法・測定原理

     ELISA


    3) 異常値を示す病態とそのメカニズム

     Eセレクチン[E-selectin; 別名endothelial leukocyte adhesionmolecule-1 (ELAM-1)、CD62 antigen-like family member E (CD62E)、 leukocyte-endothelial cell adhesion molecule 2 (LECAM2)] はセレクチンファミリーの一つで細胞表面に発現する 115kDの糖タンパクである。セレクチンは共通した構造を有するI型膜貫通タンパク質で、N末端には、Ca2+依存性の糖鎖認識部位を有し、糖鎖リガンドの捕捉に重要であるC型レクチンドメイン、上皮増殖因子様ドメイン、SCR repeats、貫膜ドメイン、細胞内ドメインからなる。
     EセレクチンはTNF-α、IL-1、IFN-γなどの炎症性サイトカイン、リポ多糖、活性酸素の刺激で活性化した血管内皮細胞表面に素早く発現誘導される。白血球上のSialyl Lewis X、P-selectin glycoprotein ligand-1などをリガンドとして結合する接着分子であり、炎症部位における白血球のrollingに必要である。癌細胞においてはCD44, death receptor-3 (DR3), LAMP1、 LAMP2などをリガンドとする。
     血中可溶性Eセレクチンは、内皮細胞が炎症により活性化する病態、例えば敗血症、動脈硬化症、感染症、糖尿病性血管障害(腎症、網膜症)、ARDS(成人呼吸促迫症候群)、大腸癌などの腫瘍により増加が確認され、活動性、予後を規定するバイオマーカーとして期待される。実用的には、炎症の程度、腫瘍の転移などの活動性、これに対する治療効果など経過を追って観察するのに用いるものであるが、特異的なマーカーではないため他の炎症マーカー、可溶性接着分子などと比較検討が必要と思われる。

    以下、高値の認められる可能性のある疾患を挙げる。
    ・血管疾患:動脈硬化症、糖尿病性血管障害(腎症、網膜症)
    ・炎症性疾患:移植拒絶、アレルギー性疾患(アトピー性皮膚炎ほか)、関節リウマチや血管炎症候群などの各種全身性自己免疫疾患、敗血症などの重症感染症、サルコイドーシス、呼吸促迫症候群(ARDS)、 全身性炎症反応症候群(SIRS)
    ・腫瘍:大腸癌(転移性肝癌)、悪性黒色腫、Hodgkin病、慢性Bリンパ球性白血病、成人T細胞白血病、膀胱癌、膵癌、乳癌、肝細胞癌

    引用文献

    1) SRL 検査項目レファランス http://www.srl.info/srlinfo/kensa_ref_CD/KENSA/SRL2569.htm
    2) シスメックス社ホームページ http://primary-care.sysmex.co.jp/speed-search/index.cgi?c=speed_search-2&pk=1022

    参考文献

    1) Zarbock A1, Ley K, McEver RP, Hidalgo A: Leukocyte ligands for endothelial selectins. specialized glycoconjugates that mediate rolling and signaling under flow.Blood. Dec 22: 118(26): 6743-6751, 2011. doi: 10.1182/blood-2011-07-343566. Epub 2011 Oct 20.