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plasminogen activator inhibitor-2(PAI-2)
解説
【分子量、半減期、血中濃度】
plasminogen activator inhibitor-2(PAI-2)は多種多様な細胞にて産生されることが判明しているが、それらの細胞では糖鎖が付加されていない47 kDaの細胞内タンパク質として存在している。一方、絨毛細胞や単球等からは糖鎖が付加された60 kDaのタンパク質が分泌される。通常は測定感度以下(10 ng/mL)であるが、妊娠末期には200 ng/mLを超えることがある。
【構造と機能】
PAI-2もplasminogen activator inhibitor-1(PAI-1)同様SERPINに属す。PAI-2は別名「胎盤性PAI」とも呼ばれ、主に絨毛細胞から分泌される。PAI-2の遺伝子名はSERPINB2(Bは細胞内型SERPINを意味する)であり、第18染色体(18q21.3)に約16kbの領域で9つのエクソンからなる。PAI-1と異なりこの分泌型のPAI-2はウロキナーゼ型プラスミノゲンアクチベータ(uPA)の阻害作用はあるが、組織型プラスミノゲンアクチベータ(tPA)については親和性を有さない。
【ノックアウトマウスの表現型】
Ginsburgらによって1999年にノックアウトマウスの報告がなされているが、特に注目すべき表現型は見出されていない。
【病態との関わり】
【その他のポイント・お役立ち情報】
近年では、その細胞内での発現が、各種の遺伝子発現の制御、細胞の分化、増殖、抗アポトーシス作用などの、uPAの制御とは関係のない現象に深く関与していることが示されるようになってきた。現時点では臨床的注目度は高くないが、癌や免疫機能における細胞機能と密接な関係があることが示唆されており、今後の新たな機能解析により役割がより明らかになると思われる因子である。
参考文献
1) Medcalf RL, Stasinopoulos SJ: The undecided serpin. The ins and outs of plasminogen activator inhibitor type 2. FEBS J 272: 4858-4867, 2005.