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バゾヒビン vasohibin
解説
1.バゾヒビン1(VASH1)・バゾヒビン2(VASH2)発見の経緯
2.Small vasohibin binding protein (SVBP)
SVBPは、バゾヒビン の結合タンパクとして単離・同定された66個のアミノ酸で構成されるタンパクである。バゾヒビンにはシグナル配列が無く、古典的には分泌タンパクではないが、細胞内でSVBPと結合すると効率良く細胞外に分泌されることが明らかとなっている(4)。
3.血管新生におけるVASHファミリーの発現と機能
低酸素で誘導される皮下血管新生におけるVASH1とVASH2の時間的・空間的発現の解析から、VASH1は血管新生の終息する部位の血管内皮細胞に、VASH2は発芽部位に浸潤するCD11b陽性の単核球に発現することが示され、さらに遺伝子改変マウスを用いた解析から、VASH1は血管新生を終息させるため、一方、VASH2は発芽部位の血管新生を促進するために機能することが明らかとなっている(5)。
4.VASH1と病態
VASH1は、生理的、病的に関わらず、血管新生部位の血管内皮細胞に高発現することが確認されており、遺伝子改変マウスを用いた研究から腫瘍血管新生を抑制して癌の発育と転移を制御することが示されている。また、VASH1は定常状態の血管内皮細胞でも基礎的に発現しており、SOD2やSirt1の発現を介して血管内皮細胞のストレス耐性を高め、細胞老化や細胞死を防止することが明らかとなっている(3)。
5.VASH2と病態
ヒトの癌病変において、VASH2は主に癌細胞に発現することが明らかとなっている。また、この癌細胞におけるVASH2の発現上昇は、癌細胞におけるmir-200の発現低下に起因することが示されている。さらに、癌細胞におけるVASH2の発現を抑制することで癌の発育が制御されることが判明しており、VASH2は癌治療における新しい分子標的となる可能性がある(3)。
参考文献
1) Watanabe K, Hasegawa Y, Yamashita H, Shimizu K, Ding Y, Abe M, Ohta H, Imagawa K, Hojo K, Maki H, Sonoda H, Sato Y: Vasohibin as an endothelium-derived negative feedback regulator of angiogenesis. J Clin Invest 114: 898
2) Shibuya T, Watanabe K, Yamashita H, Shimizu K, Miyashita H, Abe M, Moriya T, Ohta H, Sonoda H, Shimosegawa T, Tabayashi K, Sato Y: Isolation and characterization of vasohibin-2 as a homologue of VEGF-inducible endothelium-derived angiogenesis inhibitor vasohibin. Arterioscler Thromb Vasc Biol 26: 1051
3) Sato Y: The vasohibin family: a novel family for angiogenesis regulation. J Biochem 153: 5
4) Suzuki Y, Kobayashi M, Miyashita H, Ohta H, Sonoda H, Sato Y: Isolation of a small vasohibin-binding protein (SVBP) and its role in vasohibin secretion. J Cell Sci 123: 3094
5) Kimura H, Miyashita H, Suzuki Y, Kobayashi M, Watanabe K, Sonoda H, Ohta H, Fujiwara T, Shimosegawa T, Sato Y: Distinctive localization and opposed roles of vasohibin-1 and vasohibin-2 in the regulation of angiogenesis. Blood 113: 4810