大分類
  • 線溶
  • 小分類
  • 薬剤
  • ウロキナーゼ urokinase

    2015/02/17 作成

    解説

    【一般名(製品名)】ウロキナーゼ(同「ベネシス」、同「フジ」、ウロナーゼ)


    【適応】

     脳血栓症(6万単位):発症後5日以内、末梢動・静脈閉塞症(6万単位):発症後10日以内、急性心筋梗塞における冠動脈血栓の溶解(24万単位):発症後12時間以内


    【副作用・禁忌】

     投与量が過量となると出血性合併症が起こりうる。出血傾向を有する患者への投与は原則禁忌である。具体的な禁忌は以下の通りである。

    1)止血処置が困難な患者:頭蓋内出血,喀血,後腹膜出血等
    2)頭蓋内あるいは脊髄の手術又は損傷を受けた患者(2ヵ月以内)
    3)動脈瘤のある患者
    4)重篤な意識障害を伴う患者
    5)脳塞栓又はその疑いのある患者
    6)動静脈奇形
    7)重篤な高血圧


    【作用機序】

     ウロキナーゼは、ウロキナーゼ型プラスミノゲンアクチベータ(uPA)とも呼ばれるセリンプロテアーゼのひとつである。肝臓で一本鎖の酵素前駆体(プロウロキナーゼ)として産生され、プラスミンやカリクレインによって二本鎖のウロキナーゼに活性化される。ウロキナーゼは血中に分泌される不活性な酵素前駆体であるプラスミノゲンを分解し、酵素活性をもつプラスミンに変換する。生じたプラスミンは、フィブリン血栓の溶解や細胞外マトリックスを分解する線溶反応の主役となる。


    【半減期・代謝経路】

     半減期は17~33分・主として腎臓で代謝され尿中に排泄される


    【その他のポイント・お役立ち情報】

     ウロキナーゼは日本でかつてよく用いられた第一世代の血栓溶解薬である。最初はヒトの尿から単離されたが、現在では血液や細胞外マトリックスに存在することも確認されている。少量投与ではプラスミン産生量は少なく血中のα2プラスミンインヒビターにより不活化されて失活してしまうが、逆に大量投与では過剰のプラスミンが産生されフィブリノゲンをも分解して出血性合併症を引き起こしやすいという欠点がある。保険上は6万単位の投与が認められてはいるが、血栓溶解効果を期待することはできない。ただし、24万単位の局所的(冠動脈内)投与での有効例は多い。最近では脳血栓症や冠動脈血栓症に対しては、フィブリンとの親和性のより高い組織型プラスミノゲンアクチベータ (tPA) 製剤のほうがよく使用される。ウロキナーゼは血栓親和性が小さく、投与による全身性の線溶亢進のため出血性合併症のリスクは増加する。

    参考文献

    1) 循環器疾患と治療薬の使い方,代田浩之編,血栓溶解薬.中外医学社,2003,231.