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  • トロンビン形成試験(TGT) thrombin generation test(TGT)

    2015/02/17 作成

    解説

    1)トロンビン形成試験とは
     Thrombin generation test(TGT)は、近年自動化され蛍光基質を用いたCalibrated automated thrombogram(CAT)システムの開発で多検体の測定が可能になった。プロトロンビン時間(PT)活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)はフィブリン析出までの時間を測定するが、TGTではフィブリン形成の前段階のトロンビン生成をリアルタイムに定量化し包括的な凝固機能を測定できる。乏血小板血漿(PPP)だけでなく、多血小板血漿(PRP)を用いて生理的に近い条件下でも評価可能である。


    2)原理と方法

     TGTによる凝固反応は細胞基盤凝固機序に基づく。組織因子(TF)/活性化凝固第VII因子(FVIIa)トリガーで凝固反応が開始され、その過程におけるトロンビン生成量を経時的にモニタリングすることにより波形を検出する。波形が立ち上がるまでの時間(Lag time)、ピークに達するまでの時間(tt-peak)、ピークの値(Peak Th)、総トロンビン生成量(ETP)のパラメータを定量的に解析することができる(図)。


    3)異常値を示す病態

     血友病ではFXase複合体形成が抑制されるためPeak Thの低下、tt-peakの延長を認める。プロトロンビナーゼ複合体が抑制される凝固第V因子(FV)および凝固第X因子(FX)欠乏血漿ではLag timeの延長およびPeak Thの低下を認める。


    4)測定のポイント

     TGTはトリガー試薬のTF濃度によりパラメータは大いに変動する。一方、各種疾患における患者個々の凝固機能特性を評価できるため、止血治療製剤や抗凝固療法などのモニタリングに有用である。

    図表

    • 正常血漿と血友病A血漿のTGT

    参考文献

    1) 松本智子他:T-TASとトロンビン生成試験(TGT)の基本と臨床,日検血会誌 14(3):365-372,2013.