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  • GPIa/IIa

    2015/02/17 作成

    解説

    【概要】
     GPIa/IIa(インテグリンαII/β1)は、血小板に発現するコラーゲン受容体である。血小板以外にもT細胞、内皮細胞、ある種のガン細胞に発現している。血小板の GPIa/IIa はコラーゲンのみに結合するが、他の細胞ではコラーゲンに加え、ラミニンにも結合する。153-167kDaの糖タンパクであるGPIaと130kDaのGPIIaからなるヘテロダイマーで、血小板あたり2,000-4,000コピー発現している。コラーゲンI、III型にMg2+依存的に結合する。結合部位はコラーゲン上のGFOGER配列と報告されている。

    【構造と機能】 
     GPIa/IIaはコラーゲン受容体であるが、GPVIからの活性化シグナルによるインサイドアウト刺激により活性化することで、コラーゲンに結合可能となる。GPIa/IIa からは強い活性化シグナルは惹起されず、主として血小板の粘着に関与する。GPIa/IIaはGPVIと異なり、単独で浮遊血小板の凝集を惹起できないが、固相化されたコラーゲン上では粘着し伸展することが、GFOGERペプチドを用いた研究より明らかとなった。このときの活性化信号の伝達は、インテグリンのクラスタリングによりSrc kinaseが活性化され、Syk、SLP-76のリン酸化、PLCγ2の活性化からRacを介しフィロポディア、ラメリポディアを形成し伸展する(図)。

    【ノック・アウトマウスの表現形、病態との関わり】
     GPIa/IIaの欠損患者は3家系の報告があるが、いずれもコラーゲン惹起血小板凝集が欠如し、軽度の皮膚粘膜の出血や出血時間の延長が認められる。しかし、GPIaノックアウトマウスのbleeding timeは正常で、コラーゲン惹起血小板凝集も若干の凝集開始時間の遅延が認められるものの、ほぼ正常である。疫学研究にてGPIa/IIaの高発現は、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病性網膜症の危険性が上がることが示唆されている。

    図表

    • 図 GPIa/IIa(井上克枝.日本血栓止血学会誌.17 (1) :12-19, 2006 から引用)

    参考文献

    1) 井上克枝:血小板における接着分子の信号伝達系―免疫グロブリンスーパーファミリーとインテグリンを焦点に当てて-,日本血栓止血学会誌:Vol.17(1):12-19,2006.

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