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Weibel-Palade 小体(WPB) Weibel-Palade body (WPB)
解説
Weibel-Palade 小体 (WPB)は、1964年にWeibelとPaladeによって血管内皮細胞の細胞質に存在する小器官として報告された1)。直径は0.1-0.3um、長さが1-5umの縦長な形態で、長く機能が不明であったが、1982年になりフォン・ヴィレブランド因子(VWF)が含有されることが報告された2)。WPBには、Pセレクチン、組織型プラスミノゲンアクチベータ(tPA)、interleukin-8なども含まれるが、WPBにとってはVWFの存在が必須であると考えられている。
超巨大分子であるVWFをWPB内に貯蔵し、もつれないように分泌する機序が最近明らかになりつつある。VWF生合成過程は、血管内皮細胞の粗面小胞体にてC末端領域でSS結合しダイマーとなる。その後、ゴルジ内にてN末端領域でSS結合を行い、マルチマーが形成される。WPBはERの反対側のtrans-Golgi網から形成される。そして、WPB内でVWFは螺旋状にパッキングされることで、長さは約50倍に短縮されている。
WPBからその構成成分が放出されるexocytosis(開口分泌)のagonistとして、トロンビン、VEGF (vascular endothelial growth factor)、vasopressinなどが知られている。WPBのexocytosisとして3つの機序が報告されている3)。
1)古典的機序でWPBが細胞膜表面と融合し、内容物が放出される。
2)WPBが細胞膜と一過性に融合して小さな分子を通過させるが、VWFは通過できない。
3)WPBが細胞膜内小胞体の分泌ポッドに融合し、内部でVWFがほどけて伸展構造をとって放出される。
引用文献
1) WEIBEL ER, PALADE GE: NEW CYTOPLASMIC COMPONENTS IN ARTERIAL ENDOTHELIA. J Cell Biol 23: 101
2) Wagner DD, Olmsted JB, Marder VJ: Immunolocalization of von Willebrand protein in Weibel-Palade bodies of human endothelial cells. J Cell Biol 95: 355
3) Valentijn KM, Sadler JE, Valentijn JA, Voorberg J, Eikenboom J: Functional architecture of Weibel-Palade bodies. Blood 117: 5033
参考文献
1) Sadler JE: von Willebrand factor assembly and secretion. J Thromb Haemost 7 Suppl 1: 24-27, 2009.