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フィブリン重合 fibrin polymerization
解説
1)機序
フィブリノゲン(Fbg)はトロンビン(活性化凝固第Ⅱ因子)によりAα16R(Arg)-17G(Gly)間が切断され16アミノ酸からなるフィブリノペプチドA (FPA)を放出し、遅れてBβ14R(Ag)-15G(Gly)間が切断され14アミノ酸からなるフィブリノペプチドB(FPB)を放出する。FPAの放出によりFbgはFbnモノマーに転換し、α鎖に露呈された”A-knob”(Gly-Pro-Arg)が他のFbnモノマーのγ鎖に存在する”a-hole”と相補的に結合することで二本鎖のプロトフィブリルを形成する。Fbnモノマーが14-16個程度つながると、FPB放出により露呈された”B-knob”(Gly-His-Arg)と他のFbnモノマーのβ鎖に存在する”b-hole”との相補的な結合により、プロトフィブリル同士の重合(lateral aggregation)が急速に進み、フィブリン(Fbn)網が形成される。さらに活性化凝固第ⅩⅢ因子のトランスグルタミナーゼ作用によりFbn中のγ鎖同士(γ398Gln/399Gln-γ406Lys)が架橋され、安定化Fbnとなる。
2)フィブリン重合反応の実施(図)
一般的には(精製)Fbg溶液に低濃度トロンビンを添加し、350 nmの波長でFbn形成による濁度の上昇を測定する。現在の基本的な反応条件は、緩衝液:0.02 M HEPES(pH7.4)、NaCl濃度:0.12 M、 Ca2+:1.0 mM、 Fbg:0.18 mg/ml、トロンビン:0.05 U/mlである。
3)フィブリン重合反応の変動要因
フィブリン重合反応はpH及び緩衝液、NaCl、Ca2+、フィブリノゲン、トロンビンの各濃度により影響を受ける。とりわけ、異常Fbgでは正常Fbg に比べてNaCl・Ca2+濃度の影響を強く受けることが知られている。
図表
参考文献
1) 奥村伸生他:フィブリノゲン,検査と技術36:707-7015,2008.
2) Weisel JW, Litvinov RI: Mechanisms of fibrin polymerization and clinical implications. Blood 121: 1712-1719, 2013.