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    2021/11/06 更新
    2015/02/17 作成

    解説

    【基準値】
    FMD(Flow-mediated dilatation)6%以上を基準値として設けている機器もあるが、明確な基準値は現在のところ存在しない。


    【測定法・測定原理】

    FMDは血管内皮機能の検査の一つであり、血流介在血管拡張反応(血流依存性血管拡張反応)を意味する。血管内皮機能障害は動脈硬化症の初期段階として発症し、進行すれば内膜肥厚、プラーク形成・破綻などの血管イベントの発症に寄与する。
    FMDの測定法は上腕を用いて行う。片側の上腕を駆血することにより阻血状態とし、一定時間駆血した後に開放し、超音波装置で測定した上腕動脈の血管径の最大変化率を用いて血管内皮機能(内皮依存性血管拡張反応)を評価する。この内皮依存性血管拡張反応は、主にNO(nitric oxide:一酸化窒素)が主役と考えられており、血管内皮機能が低下するとNOの産生が低下しFMD値も低下する。
    実際には、超音波装置を用いて上腕動脈を描出し、安静時の上腕動脈血管径を測定する。その後、前腕部をマンシェットにより収縮期血圧に30~50mmHgを加えた圧で5分間駆血する。阻血状態から動脈血流を開放することにより上腕動脈で血流の増加が短時間のうちに生じ(反応性充血)、血管内皮へのずり応力が増大する。その結果、NOに代表される血管拡張物質が血管内皮から放出され、血管平滑筋細胞に作用することによって上腕動脈の拡張が生じる。駆血を解除した後、血管が最大拡張した径を測定する。
    FMDは安静時血管径に対する最大拡張血管径の比率であり、下記の式で表される。

    FMD(%)=(最大拡張血管径-安静時血管径)/安静時血管径 ×100


    【異常値を示す病態とそのメカニズム】

    血管内皮機能の異常は動脈硬化の初期病変とされ、FMDは形態的な血管障害の変化が生じる前の機能的な障害ととらえられている。喫煙、高血圧、脂質異常症などの動脈硬化の危険因子を有する者は血管内皮機能が低下していることが知られている。また、加齢、肥満でもFMDが低下すことが報告されている。


    【異常値に遭遇した際の対応】

    薬剤や食物摂取、運動などの生活習慣の改善によりFMDが改善することがあり、FMDの絶対値よりもFMDの改善に重要な意味があり、治療介入により改善するか経過を観察する必要がある。


    【お役立ち情報】

    測定機器としては半自動解析装置を内蔵しているUNEX EF(UNEX社製)やエコートラッキング機能を搭載しているProSound2 6500SV, 5500SV(ALOKA社製)などが代表的である。
    肥満者や高齢者では、上腕動脈の描出が不良な症例が存在するため、検査が困難な場合がある。また、多少の苦痛も伴うため検査実施にはインフォームドコンセントを得ることが望ましい。血管内皮機能検査として保険適応されている。

    参考文献

    1) 循環器病の診断と治療に関するガイドライン,血管機能の非侵襲的評価法に関するガイドライン(2013) http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2013_yamashina_h.pdf