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プロスタサイクリン(PGI2) prostacyclin(PGI2)
解説
【分子量/半減期】
352.47/約3分
【機能】
プロスタサイクリン (PGI2) は1976年、ウェルカム研究所(イギリス)のVane JR、Moncada Sらにより報告された。ブタあるいはウサギの大動脈内壁のミクロソームをPGG2とインキュベートすると、PGG2の大動脈収縮作用は15~30秒以内になくなり血小板凝集阻止作用を持つ物質として見出された。トロンボキサンA2 (TXA2) は血小板においてPGG2を経てPGH2から産生されるが、正常の血管内皮細胞においてはPGG2を経てPGH2からPGI2が産生される。Moncada はウサギの大動脈を内皮細胞、内弾性板、中膜、外膜の4層に分けそれぞれのPGI2産生能を調べ、内皮細胞にその活性が最も強いことをつきとめた。TXA2が血小板凝集作用、血管平滑筋収縮作用を有し、半減期は約30秒であるのに対して、PGI2は血小板凝集阻止作用、血管平滑筋弛緩作用を有し、半減期は約3分である (参照:血管内皮細胞による抗血栓作用)。代謝されて安定な6-keto PGF1αとなる。血小板凝集阻止作用はPGE2の凡そ30倍である。血管内皮細胞にて産生されたPGI2は血小板膜上のPGI2受容体に結合してアデニル酸シクラーゼを活性化してcAMPを増加させ血小板活性化を抑制する。正常の血管内皮細胞の抗血栓活性を担う重要分子である。
【お役立ち情報】
PGI2誘導体(ベラプロストナトリウム)は半減期が長く、閉塞性動脈硬化症の治療に用いられている。
参考文献
1) Moncada S, Gryglewski R, Bunting S, Vane JR: An enzyme isolated from arteries transforms prostaglandin endoperoxides to an unstable substance that inhibits platelet aggregation. Nature 263: 663