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活性酸素 reactive oxygen
解説
【概要】
活性酸素 (reactive oxygen) とは反応性の高い状態になった酸素分子とその関連化合物の総称である。酸素はその分子の特性として2個の不対電子を有することが活性酸素への移行を容易にしている。従って酸素分子はバイラジカルである(参考:Pauliの原理)。また、フリーラジカルとは1つの電子軌道に1つの不対電子を有する不安定な分子であり、安定化のために他から電子を1つ奪う作用(酸化作用)を有する。(参考:原子、分子、イオンが電子を失うとき、それらは「酸化」されたといい、電子を得るとき、それらは「還元」されたという)
【機能・病態との関わり】
活性酸素のターゲットはタンパク質、脂質、核酸、糖など広範囲であり、活性酸素により酸化された分子は正常な構造・機能を失うこととなる。全ての細胞において酸素を利用してATPを産生する過程において生じる活性酸素への曝露は不可避的であり、従って活性酸素は老化そのものにも直接に関わっており、動脈硬化、癌をはじめ、あらゆる病態に関与している。活性酸素種 (reactive oxygen species: ROS) にはラジカルとしてsuperoxide、hydroxy radical (HO・)、一酸化窒素 (NO) 等が含まれ、非ラジカルとしてhydrogen peroxide (H2O2)、peroxynitrite (ONOO–) 等が含まれる。活性酸素を消去する酵素系には、superoxide dismutase (SOD)、catalase、glutathione peroxidase、glutathione reductase等が存在する。superoxideや一酸化窒素の水溶液中での半減期は数秒であり、hydroxy radical ではマイクロ秒程度と短い。
参考文献
1) 藤田直:活性酸素,過酸化脂質,フリーラジカルの生成と消去機構並びにそれらの生物学的作用,薬学雑誌 122(3):203-218,2002.