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CD40リガンド CD40 ligand
解説
【分子量】
39kDa,可溶性CD40リガンド(sCD40L)は15-18kDa
【sCD40Lの血中濃度】
健常人では血清:検出感度以下-約10 ng/mL,血漿:検出感度以下-約100 pg/mL程度とされているが,測定キットにより異なると思われる.
【構造と機能】
CD40 リガンド(CD40L)は II型膜貫通のTNFスーバーファミリータンパク質に属しており,CD4陽性T細胞,肥満細胞,好塩基球,血小板などにおいて,活性化刺激に依存して発現する.一方,その受け手であるCD40はTNFレセプターファミリーのメンバーであり,B細胞,マクロファージ,樹状細胞などに発現している.活性化 CD4陽性T細胞において発現するCD40Lは,B細胞上のCD40と結合すると,増殖や免疫グロブリンのクラススイッチ誘導を促進する.高IgM症候群は免疫グロブリンのクラススイッチ機構に欠陥があり,IgMは産生できるものの,IgG,IgA,IgEを産生できないが,X連鎖型のものはCD40リガンドの遺伝子異常により発症することが明らかとなっている.このように, CD40リガンドはCD40 との結合を通じ,免疫反応に大きく関与するが,さらには,炎症,血栓形成の機構にも関与していることが知られている.
【血栓・止血病態との関わり】
sCD40Lは研究室レベルで測定可能であり,向血栓性のマーカーになりうる.sCD40Lは,マトリックスメタロプロテアーゼによって膜型CD40Lが切断され,放出されたものである.血小板が活性化される際にもCD40Lは放出され,血小板は血中の循環sCD40Lの主な供給源と考えられている.このsCD40Lは,血管内皮細胞,平滑筋細胞などに対して作用し,生体の向炎症性,向血栓性に関与することが知られている(図).さらには,冠動脈疾患患者における,治療効果および臨床転帰を反映するバイオマーカーとしてのsCD40 Lの有用性が示されている.
文献1)によると,血清sCD40L濃度は急性冠症候群患者の40.6%で上昇(5.0 ng/mL)しており,sCD40L濃度の上昇により,高リスクの患者が同定された(補正ハザード比 6.65).また,sCD40L濃度が上昇している患者においては,そのリスクの増大は,GPIIb/IIIaの機能を抑制することにより血小板凝集反応を阻害するabciximabを用いた治療で有意に減少したと報告されている.
図表
引用文献
1) Heeschen C, Dimmeler S, Hamm CW, van den Brand MJ, Boersma E, Zeiher AM, Simoons ML; CAPTURE Study Investigators: Soluble CD40 ligand in acute coronary syndromes. N Engl J Med 348: 1104