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抗血小板抗体 anti-platelet antibody
解説
【概要】
【基準値】
PAIgG:<46(ng/107 cells),PB-IgG:陰性
【測定法・測定原理】
PAIgG:ELISA法,PB-IgG:MPHA(Mixed Passive Hemagglutination)法
【異常値を示す病態とそのメカニズム】
PAIgGが異常値を来す疾患として,前述の免疫性血小板減少症(特発性血小板減少性紫斑病;ITP)が挙げられる。PAIgGは血小板膜糖タンパク質に存在するIgGを見ているだけなので,必ずしも病態と直結しない。つまり,特発性ITP以外でも自己免疫疾患がある場合,あるいは薬剤性,慢性肝疾患による血小板減少の際にも異常値を来すことがある。PB-IgGは検体血漿と正常血小板血漿を混合して凝集反応を見る。ITPでも陽性となるが,同種抗体は主に血小板膜糖タンパクやHLA class Iの抗原刺激に対して産生する抗体である。そのためその本質は,抗HLA(human leukocyte antigen)抗体あるいは抗HPA(human platelet antigen)抗体であり、血小板輸血不応状態の他、輸血後紫斑病や新生児血小板減少症(NAIT)が代表的な疾患、病態である。
【異常値に遭遇した際の対応】
PAIgGが異常値(高値)を呈する主な病態は前述のとおりであるが、中でもITPは異常高値を示すため,他の疾患との鑑別の一助になる場合もある。PB-IgGは,保険上の検査名は「抗血小板抗体」である。特異度は低いが血小板輸血不応状態の患者の場合は、標的となる血小板膜蛋白やHLAの同定(タイピング)のためのスクリーニング検査としての意義はある。
わが国で汎用されているMPHAの抗血小板抗体検出感度はあまり高くない。したがって,臨床所見からPB-IgGの存在が強く疑われるにもかかわらず,MPHAで検出されない場合は,MAIPA(monoclonal antibody immobilization of platelet antigen)などの他の方法を用いるが,自施設で可能な病院は多くない。
参考文献
1)桑名正隆. 2.抗血小板抗体. 日内会誌, 2009, 98(7) 30-35.
2)冨山佳昭. 抗血小板抗体の検出とその臨床的意義. 日輸会誌, 2018, 64(6)681-687.
3)渡邊直英, 半田誠. 抗血小板抗体. Medicina, 2015, 54(5)433-434.