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血管新生療法 angiogenic therapy
解説
■概要
虚血組織における側副循環経路の構築(血管新生の誘導による血流を確保)により、組織救済の治療効果を期待する治療法である。閉塞性末梢血管疾患・虚血性心疾患などには、すでに血行再建術として、カテーテルやバイパス治療があり一定の成果をあげているが、施行が困難か効果が限定的とされる進行例や、再発など治療抵抗性の問題は依然として課題である。そのため、こうした従来法で改善を見込めない症例への非侵襲的な新規治療法として期待されている。
■アプローチ概念(図1)
1)細胞療法:自己の骨髄幹細胞、末梢血単核細胞(CD34やCD133陽性細胞)の投与により、これらの血管への分化(血管発生)や、血管新生因子分泌および移植近傍局所での血管新生関連因子の産生増強によって血管新生の誘導を期待するものである。近年では、脂肪組織由来細胞や、iPS細胞の有効性も指摘されている。ただし、移植細胞の生存効率や必要な細胞数の問題など課題も残される。
2)遺伝子治療:VEGF、HGF、FGFsなどの遺伝子導入により、局所での血管新生因子の発現を誘導し血管新生を惹起するものである。ヒトにおける臨床知見ではI/II相段階で、遺伝子導入の安全性については安全性が確認されているが、治療効果については確定的な結論は得られていない。
3)タンパク質投与:血管新生因子を徐放粒子を使い患部に直接投与し血管新生を誘導する。血管新生因子の供給マテリアルには、ハイドロゲル(アルギネート、ヒアルロン酸、PEG、ペプチドナノファイバー)、マイクロ、ナノパーティクル(PLGA,キトサン、リポソーム)などがある。ただ、この方法は、局所クリアランスが高いことから、高用量の反復投与を要することや、虚血心筋などでは患部への高度な投与技術を要すること等制約も大きいのが課題である。
■臨床応用への現状
図表
参考文献
1) 血管新生研究の最先端,医薬ジャーナル社,2013