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ステロイドホルモン受容体 steroid hormone receptor
解説
【概要】
性ステロイドホルモンなどをリガンドとする核内受容体である。リガンド結合依存性にDNA結合転写因子として機能し、標的遺伝子の発現を正負に転写レベルで制御する。その結果発現調節を受けた遺伝子産物が、リガンドの生理作用を担っている。リガンドには性ホルモンであるエストロゲン、プロゲステロン、アンドロゲンや副腎皮質ホルモンである糖質コルチコイド、鉱質コルチコイドがある。
【構造と機能】
ステロイドホルモン受容体を代表とする核内受容体群はそのDNA結合様式により区別される。ステロイドホルモン受容体はホモ2量体、非ステロイド受容体はRXR(Retinoid X Receptor)とヘテロ二量体として標的遺伝子に結合する。一般に核内受容体群は高い相同性を有しており、2つの転写促進領域とDNA結合領域に大別される。2つの転写促進領域は他の転写共役因子とともに直接相互作用し、その代表的なものとしてはヒストン修飾酵素群がある。
【病態との関わり】
ステロイドホルモン受容体による調節を受ける遺伝子の一つにプロテインS(PS)遺伝子(PROS1)がある。妊娠女性では週期の進行とともにPSが低下するが、このPS低下はエストロゲンによるPROS1の発現抑制に起因することが分かっている。一方でPSはプロゲステロンによる調節も受けており、in vitroではPROS1の転写活性を約20%増強させることも報告されている。
図表
参考文献
1) 加藤茂明,藤山(中村)沙理:核内性ステロイドホルモン受容体による転写制御の分子機構,日本生殖内分泌学会誌 Vol.15:5-11,2010.
2) 鈴木敦夫,小嶋哲人:エストロゲンによるProtein S産生抑制,日本血栓止血学会誌 Vol.22(5):285-288,2011.
3) Hughes Q, Watson M, Cole V, Sayer M, Baker R, Staton J: Upregulation of protein S by progestins. J Thromb Haemost 5: 2243