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    2015/02/17 作成

    解説

    FDG-PET


    <概要>

     PET(positron emission tomography,陽電子放射断層撮影)は、生体内の生理活性物質そのものや類似化合物を用いた優れた利点が特徴である。その中でFDG-PETはブドウ糖類似化合物である2-[18F]fluoro-2-deoxy-D-glucose(FDG)を静脈注射して全身を撮影する検査である。1回の検査による全身被曝は3ミリシーベルト程度であり、PET-CTの場合で~10ミリシーベルトである。


    <検査法、画像撮影法>

     FDGはグルコースの2位の水酸基を18Fで置換した構造である。FDGは、グルコースと同様グルコーストランスポーターにより細胞内に輸送された後、ヘキソキナーゼによりFDG-6リン酸となるが、それ以降の解糖系基質とはならずFDG-6リン酸のまま細胞内に滞留する。悪性腫瘍では正常細胞よりも3~8倍以上のグルコースを取り込むとされ、FDGも腫瘍組織で取り込みが亢進し陽性像となる。従ってFDG-PET検査は、悪性腫瘍の早期発見、病期診断、治療法の選択、治療効果判定等に応用される。その他、脳疾患(てんかん)、虚血性心疾患、炎症性疾患などにも有用である。しかし一方で、糖代謝の亢進が高くない腫瘍ではFDG集積が低い場合や、活動性炎症や肉芽組織へのFDG集積亢進が腫瘍診断の妨げとなる場合もあり課題として残される。
     PETはポジトロン放出核種で標識された放射性薬剤を静脈投与し1時間後にPETカメラで全身を撮影(20-30分)する。そして体内でポジトロンが消滅する際の消滅放射線を検出し画像化する。現在、CT一体型のPET-CT装置による、PET画像とCT画像の融合診断が主流である。
     近年、動脈硬化病変のマクロファージや石灰化に集積することを利用し,18F-FDGや18F-NaFが脆弱性動脈硬化プラークのイメージングとして期待されている。

    シンチグラフィー(Scintigraphy)


    <概要>

     放射性同位元素で標識された放射性薬剤を体内に投与し、薬剤の体内分布を画像化する核医学検査として、シンチグラフィーやSPECT(single photon emission computed tomography,単一光子放射断層撮影)、PET(前述)がある。PETに比べると解像度や定量性で欠点があるものの、汎用性、コストの面等ではPET検査に優れる。


    <検査法、画像撮影法>

     放射性薬剤を、経静脈や経口、経吸気投与し,体内に分布した放射性薬剤から放出されるγ線をガンマカメラで検出し画像化する。シンチグラフィーで用いられる放射性同位元素は99mTc、123I、67Ga、201Tl等が用いられ、これらで標識合成された放射性薬剤を使い分けることにより、腫瘍シンチ、脳血流シンチ、甲状腺シンチ,心筋血流シンチ、骨シンチ、腎シンチ等の検査が行われる。比較的短時間の半減期の核種(数分、数時間~数日)を用いる場合がほとんどであり、かつ体内排泄が比較的早い薬剤を用いる。検査により異なるが、1回の検査による全身被曝は~数ミリシーベルト程度である。

    参考文献

    1) 日本核医学会:核医学テキスト,絹谷清剛編,FDG PET, PET/CT 診療ガイドライン.中外医学社,2012.
    2) 日本アイソトープ協会:核医学Q&A http://www.jrias.or.jp/pet/cat3/601.html
    3) 日本アイソトープ協会:PET検査Q&A http://www.jrias.or.jp/pet/cat2/301.html