- 大分類
-
- 線溶
- 小分類
-
- 機構
一次線溶 primary fibrinolysis
解説
定義
プラスミノゲンアクチベータ(PA)によるプラスミノゲンの活性化反応において、フィブリンが補酵素的に関与しないで生じたプラスミンにより、フィブリンが分解される反応を一次線溶反応と呼ぶ。
ポイント
1)循環血液中では、PAによるプラスミノゲン活性化反応は極めて効率が悪く、生理的にはほとんどプラスミンは生じない。何らかの病態によりフィブリンが生じると、フィブリン分子上で二次線溶反応亢進はみられるが、時にフィブリン量に見合わない大量のプラスミンが血中に生成することがある。
例えば、次のような病態で見られる
・ 病的血栓を溶解するために治療目的に大量のPA製剤を血中に投与した場合。
・ 急性前骨髄球性白血病の白血病細胞上に、或いは、ある種の移行上皮がん細胞膜上に、組織型プラスミノゲンアクチベータ(tPA)や、プラスミノゲンのリジン結合部位と特異的に結合するアネキシンA2分子が大量発現することがある。これに両者が結合して効率よくプラスミン生成が進行する場合。
2)一次線溶反応が亢進すると、フィブリン分解産物のみならず、プラスミンの比較的良い基質であるフィブリノゲンや凝固第VIII因子など血中タンパク質の分解物も血中に増加する。フィブリノゲンの分解は著しい二次線溶亢進の際にも見られる。