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経口用トロンビン
解説
【一般名(製品名)】
トロンビン(同;ヒト由来の粉末の製剤と、ウシ由来の細粒および粉末の製剤がある)
【適応】
粉末:通常の結紮によって止血困難な小血管、毛細血管および実質臓器からの出血(例えば、外傷に伴う出血、手術中の出血、骨性出血、膀胱出血、抜歯後の出血、鼻出血および上部消化管からの出血など)
細粒:上部消化管出血
細粒:上部消化管出血
【副作用・禁忌】
重篤な副作用には、ショック、凝固異常・異常出血がある。凝血促進剤や抗プラスミン剤、アプロチニン製剤の投与を受けている患者には禁忌である。その他、血栓形成傾向を有する患者への投与は相対的禁忌である。またウシ由来の製剤は、ウシ血液を原料とする製剤に対し過敏症の既往歴のある患者には禁忌である。
【作用機序】
出血している局所において、フィブリノゲンを加水分解してフィブリンに変え、さらに凝固第XIII因子をも活性化して安定化フィブリンへの変換を促すことにより、止血作用を発揮する。
【半減期・代謝経路】
血中ではアンチトロンビンと結合して代謝され、その半減期はきわめて短い。
【その他のポイント】
上部消化管出血などに経口投与されるトロンビン製剤は、胃酸の存在による失活を避けるために、牛乳や制酸剤などと併用されることが多い。しかし逆にそれらの併用によってトロンビン製剤の活性が低下してしまうことがある。特にアルサルミン併用時やマーロックスの先行投与時には、その低下が顕著となるので注意が必要である。
参考文献
1) 清水瓊子他:上部消化管出血に対するトロンビン製剤の使用法について,日本病院薬剤師会雑誌 35:779-782,1999.