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トロンボエラストグラフィ thromboelastography
解説
1)トロンボエラストグラフィとは
トロンボエラストグラフィ(TEG)は血液凝固線溶動態をグラフ化し評価する方法である。近年、デジタル化されたROTEM®(rotational thromboelastometry)は、衝撃の影響が少なく、多チャンネルでの同時測定や定量化が可能で汎用性は向上した。
2)原理
血液検体(全血あるいは血漿)に試薬添加後、フィブリンクロット形成による血液粘稠度の変化を回転するピンが光学センサーとして捉え図式化することにより、リアルタイムに血液凝固過程をモニタリングできる。CT(血餅形成開始までの時間)、CFT(血餅形成開始から20mm幅に達する時間)、MCF(血餅振幅の最大値)やα角度などのパラメータ解析が可能である。
3)測定試薬
添加試薬で凝固異常を鑑別でき、NATEMはCaトリガーで、EXTEMは外因系、INTEMは内因系を反映する。FIBTEMはフィブリン重合、APTEMは線溶亢進の有無を評価できる。また凝固能を反映できるPoint-of-Care(POC)モニターとして注目されている。
4)臨床的応用
出血性疾患、人工心肺を用いた周術期の止血管理、外傷、その他様々な領域で使用できる。血友病や血友病インヒビター患者のバイパス製剤による治療効果の判定にROTEMによる止血モニタリングは有用である。
5)測定におけるピットフォール
血小板凝集は反映できず、測定までの時間、年齢、性差、Ht値、薬剤、血小板およびフィブリノゲン量に影響される。
図表
参考文献
1) 野上恵嗣:血液凝固の動的把握と血友病診療の進歩,血栓止血誌25(3):371-379,2014.