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エカリン凝固時間(ECT) ecarin clotting time
解説
1) 基準値:方法・条件により異なるが、以下が報告されている。一つは秒数表示法で、本法がヒルジンを測定するため開発された当初は50秒前後に設定されたが、最近では30秒程度に設定した改変エカリン凝固時間(ECT)法がある。またECT個々の差を軽減するため比率(ECT ratio)やthrombin inhibitor ratioで結果を示す方法も考案された。
2) 測定原理・方法:エカリンはカーペットバイパー(saw-scaled viper 、Echis carinatus)の毒素由来の金属酵素で、 直接プロトロンビン(FII)をメイゾトロンビンに変換する。エカリン凝固時間(ECT)は、FII からの血液凝固カスケードの活動を反映する検査である。抗トロンビン作用がある新規経口抗凝固薬(NOAC)の血中濃度測定に用いる。方法は文献記載の通りである。
3) 異常値を示す病態とそのメカニズム: 抗トロンビン薬アルガトロバンやNOACの中でダビガトランなどの投与によりトロンビン活性が低下している際、ECTは延長する。
4) 異常値に遭遇した際の対応:NOACの半減期はワルファリンに比して短く、トラフ値でも明確なECT延長を検出した際は出血の副作用発現の可能性をも含め考慮する。なお、緊急時のダビガトラン除去に透析は有効である。
5) その他、お役立ち情報:エカリンはSigmaなどで市販され、ECTの凝固時間法試薬はPentapharm、ECTの合成発色基質法がStagoから発売されている。
参考文献
1) Nowak G: The ecarin clotting time, a universal method to quantify direct thrombin inhibitors. Pathophysiol Haemost Thromb 33: 173
2) Tripodi A: The Laboratory and the new oral anticoagulant. Clin Chem 59: 353-62, 2013.(邦文訳:http://www.clinchem.org/content/suppl/2013/03/07/clinchem.2012. 189704.DC1/HECTEF_CCP_2013_2_No.1.pdf,2014年7月7日確認)
3) 内藤澄悦,家子正裕,佐久間一郎,鈴木健史,熊野穣,吉田美香,高橋伸彦,若宮伸隆,四倉昭彦,吉田泉,櫻井正之:Ecarin clotting timeによるダビガトラン療法モニタリングの試み,血栓止血誌 25(2):238,2014.