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  • 非受容体型チロシンキナーゼ non-receptor protein tyrosine kinase

    2025/04/14 更新
    2015/02/17 作成

    解説

    概要
    受容体型チロシンキナーゼは細胞外からの刺激を直接受容せず、他の受容体やインテグリンと共役して機能する。SFK(Src family kinase)、Syk、Btk/Tecなどの非受容体チロシンキナーゼは、ITAMを有するGPVI/FcRγやFcγRIIAまたはhemITAMを持つCLEC-2などからなる「ITAM-LAT signalosome」、インテグリンαIIb/β3やc-mplなどによる「Non-ITAM signaling」に動員されて外部刺激による血小板活性化シグナルの伝達に関わる(図1A)。

    ITAM-LAT signalosomeコラーゲンによるGPVI/FcRγ活性化の例, 1図B)
    1. 受容体の活性化によりSFKが活性化され、ITAMがリン酸化される。
    2. リン酸化ITAMにはSykがリクルートされ、自己リン酸化やSFKによるリン酸化を受ける。
    3. 活性化SykはアダプタータンパクのLATやSLP-76などをリン酸化し、LAT signalosomeを形成する。
    4. SignalosomeにはBtk/Tecがリクルートされ、同様にsignalosomeに結合したVav1/3やPLCγ2をリン酸化する。
    5. 活性化したPLCγ2は2次メッセンジャーであるIP3とDADを産生し、血小板を活性化させる。
    Non-ITAM signaling
    インテグリンαIIb/β3、GPIb/IX/V、c-mplはITAMを持たない受容体である。インテグリンαIIb/β3とGPIb/IX/VはITAM receptorと類似したSFK-Syk-SLP76-PLCγ2経路によって血小板を活性化する。TPO受容体c-mplはJAK2の活性化でリン酸化され、STAT3/5、PI3K/Akt、Ras/MAPK経路により造血幹細胞や巨核球の増殖・分化をもたらす。

    図表

    参考文献

    1) 井上克枝,井上修,尾崎由基男,血栓止血学会誌 22 (6):348-362,2011.