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血小板第4因子(PF4)・βトロンボグロブリン(β-TG)
解説
血小板第4因子(platelet factor 4; PF4)
血小板第4因子(PF4)は血小板のα顆粒中に含まれる血小板固有タンパク質である。血小板の活性化によって血漿中に放出される。放出されると血管内皮表面のへパリン様物質と結合し,数分以内に消失する。ヘパリンとも結合し抗へパリン作用を有する。ヘパリン-PF4複合体に対する自己抗体ができ、この免疫複合体が血小板を活性化させ、血小板減少や血栓症を来す病態を、ヘパリン起因性血小板減少症/血栓症HIT/HITTS(heparin-induced thrombocytopenia/thrombosis)という。
<臨床的意義>
<臨床的意義>
血漿中のPF4増加は凝固亢進や動脈硬化巣の存在などによる血小板活性化を反映する。血栓症の診断、血栓形成準備状態の診断、血栓症の治療効果の判定などに使用できるが、実際にはあまり使用されていない。
<異常値を呈する疾患>
高 値:血栓症(脳血栓、心筋梗塞、深部静脈血栓、播種性血管内凝固症候群など)、腎不全、骨髄増殖性疾患、その他血小板が活性化している病態(糖尿病、膠原病など)
低 値:血小板減少症
<検査解釈の注意点>
採血時の血小板活性化で著増する。駆血帯は弱く巻き、19G以上の針でスムーズにしかも素早く抗血小板薬入り試験管に採血する。β-トロンボグロブリンと同様α顆粒から放出されるが、PF4は体内では素早く血管内皮細胞表面に結合するため、in vivoの血小板活性化ではPF4の上昇はβトロンボグロブリンの上昇に比べ軽度である。一方、採血時の血小板活性化では両者が同程度に上昇する。血管内皮細胞上のPF4はヘパリン投与により遊離するので、ヘパリン治療中の患者では病態の指標にならない。
βトロンボグロブリン(β-thromboglobulin)
βトロンボグロブリン(β-TG)はPF4と同様、血小板のα顆粒中に含まれる分子量8.8kの血小板固有タンパク質である。血小板の活性化および崩壊によって循環血液中に放出される。β-TGは血小板の母細胞である骨髄巨核球により血小板塩基性タンパク質(PBP)として生成され,巨核球内酵素によってN末端アミノ酸が切断されlow affinity(PF4LA-PF4)となり,さらにN末端のアミノ酸が切断されβ-TGとなる。半減期は約100分とされる。
<臨床的意義>
PF4と同様である。血中のβ-TGの増加は血小板の活性化および凝固亢進などの病態にみられるので,これらの検出のために測定される。血栓症の診断、血栓形成準備状態の診断、血栓症の治療効果の判定などに使用できるが、実際にはあまり使用されていない。
<異常値を呈する疾患>
PF4と同様
<検査解釈の注意点>
PF4と同様である。ただしβ-TGは体内で実際に血小板が活性化した場合と、採血時の手技の問題等in vitroで活性化した場合の、いずれの場合も上昇する。
参考文献
1) 村田満:「凝固・線溶関連検査(出血時間・毛細血管抵抗試験・血小板凝集能・血小板粘着能・血小板寿命・βトロンボグロブリン・血小板第4因子)」,最新臨床検査項目.医歯薬出版,2008,81-85.