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    2015/02/17 作成

    解説

    1) 病態・病因

     ビタミンCの欠乏によって起こる疾患で、体内のタンパク質を構成するアミノ酸であるヒドロキシプロリンの合成が低下し、組織間をつなぐコラーゲンや象牙質、骨の間充組織の生成と保持に障害を受ける。これがさらに微小血管の損傷につながり、出血の原因となる。 3–12か月に及ぶ長期・高度のビタミンC欠乏により、脱力や体重減少、鈍痛に加え、出血(皮膚・粘膜、歯肉)、歯の脱落・変化、創傷治癒の遅れ、低色素性貧血、易感染性、古傷が開くなどの症状がみられる。 成人では生野菜の摂取不足や長期間の感染症・熱病の後に起こり、大航海時代は太洋を航海する船中でよく発症し、致死的であることから恐れられた。また、戦場でも壊血病はよく見られた。
    小児では、穀物のみの人工栄養などビタミンCの配合を誤った人工栄養によって起こり、特に生後6–12か月の間に発生して、メレル・バロウ病とも呼ばれる。出血・血腫(軟骨や骨境界部)、骨組織の形成不全、骨折・骨変形、壊死、歯の発生障害などの症状がみられる。

    2) 疫学
     ビタミンCと壊血病の関係が明らかになったのは、1932年以降である。ジェイムス・リンドは、比較対照試験により
    レモン(ビタミンC)が壊血病に効くと発見した。


    3) 検査と診断ならびに治療の実際

     上記の症状や病態は、ビタミンCの投与にて改善する。現在では、ビタミンCの補給が充分に行われているため、壊血病は殆どみられなくなった。壊血病が疑われる場合は、ビタミンCを与える治療的診断を行う。

    4) お役立ち情報

     開発途上国では壊血病の発症の可能性があり、ビタミンCの補給による予防を行う。

    参考文献

    1) Wikipedia「壊血病」http://ja.wikipedia.org/wiki/%25E5%25A3%258A%25E8%25A1%2580%25E7%2597%2585
    2) 村田満:ビタミンC欠乏(壊血病),門脇孝,永井良三総編集,内科学.西村書店,2012,1435.