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  • アデノシン二リン酸(ADP) adenosine diphosphate (ADP)

    2015/02/17 作成

    解説

     アデノシン二リン酸(ADP)は、プリン塩基であるアデニンに、五炭糖のリボースがグルコシル結合したアデノシンの5位にリン酸が2つエステル結合したもので、分子量427.2である。細胞外ヌクレオチドリン酸加水分解酵素により、ATP(adenosine triphosphate、アデノシン三リン酸)からADP、AMP(adenosine monophosphate、アデノシン一リン酸)へと脱リン酸化される。循環血液中のADPは主に赤血球や血管内皮細胞に由来するが、血小板の濃染顆粒にも含まれる。ADPは様々なアゴニスト刺激による血小板活性化によって放出され、オートクリン/パラクリン的に血小板活性化を引き起こす。ADPはプリン受容体であるP2Y1受容体およびP2Y12受容体(共に7回膜貫通型のGタンパク質共役型受容体[G-protein-coupled receptor, GPCR])を介して血小板凝集を引き起こす。ADP刺激による細胞内シグナルは、P2Y1受容体(Gq)を介した一過性のCa2+上昇やP2Y12受容体(Gi)を介したアデニル酸シクラーゼの抑制によるCa2+動員である。これら細胞内シグナルに伴い、血小板の形態変化(shape change)・凝集や、その他の凝集物質であるアラキドン酸やトロンボキサンA2(TXA2)の放出が起こる。一方、生体内ではいくつかの抗血小板機構が備わっており、一つは血管内皮細胞表面に発現するecto-ADPase (CD39)である。Ecto-ADPase (CD39)は、ADP分解活性に加えて、ATP分解活性を併せもつことが多く、ecto-ATP diphosphohydrolase、あるいは、ecto-apyraseと呼ばれている。1)

    引用文献

    1) Yagi K, Kato N, Shinbo M, Shimba LS, Miura Y: Purification and characterization of adenosine diphosphatase from human umbilical vessels. Chem Pharm Bull 40: 21432146, 1992.

    参考文献

    1) 池田康夫:血小板生物学,丸山征郎編,メディカルレビュー社,2004.
    2) 大森司:血小板と臨床検査,血栓止血誌 19:456-458,2008.